修羅の日記(公開試運転中)

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みどりの日(4月29日)から届いた手紙

天皇誕生日だった4月29日の祝日は、平成以降「みどりの日」になり現在は「昭和の日」として昭和という時代にちなんだ祝日になっています。昭和の日に「明治」の話とはなんぞやですが・・。

博物館明治村(愛知県犬山市)から思いがけず手紙が2通届きました。宛名は2通とも僕の名前になっています。女房ともども思い当たる節がない。

■やや拙い宛名の筆跡に、だんだん記憶が蘇ってきました。これは明治村にある宇治山田郵便局で連れて行った二人の娘が書いたもの。10年後に届くという手紙、二人が「10年後の自分」に宛てて書いた手紙なのです。

■宛名が僕の名前になっていたのは多分、あの時、係の人が10年後、手紙が届くようにできるだけ世帯主にしていた方が良い、というアドバイスに従ったような記憶がありますが、娘ひとりは金沢ですが二人とも苗字も変わっていませんから、結果的には大丈夫だったネ。

■この手紙のサービスは明治村によって現在も続けられています。
 ●はあとふるレター  http://www.meijimura.com/enjoy/experience/letter/

■特に小学生の娘が書いた「友達」についての話題は涙が出そうなぐらい優しい気持ちに溢れていて、就活で精神的に疲れている今の娘には新鮮なものかもしれません。とても良い企画でぜひ続けて欲しいですね。正直、親としては10年健やかに成長してくれただけでもありがたい。

■10年前の4月29日の写真が残されています。女房は店があり休日ではないので3人だけ。木造教会の隣で女房が用意してくれた「おにぎり弁当」を開けている写真とか、何枚かの娘たちの記念写真が残されていますが、その数倍の枚数の「蒸機の写真」!

■娘のためだけでなく自分のための明治村の休日でもありました。

■まずはポニートラスに寄り添って展示されている尾西鉄道1号機関車。珍しい軸配置2B1でテンダー機関車では日本鉄道が満を持してボールドウィン社に製作させたBbt2/5(官鉄後の形式6600)が有名です。速度重視の軸配置で「アトランティック」と呼ばれています。古典機ファンは「アトラン」と略して呼ぶことが多いようです。が、日鉄のアトランは火室の面積を広げるために従輪を設けたようですが、この機関車はタンク機でそのような豪快さはありません。2B1tという軸配置は軽快な感じはしますが使い勝手がよかったかどうかは疑問です。

■特徴的な軸配置をとらえるには横から撮影すべきでしょうが、たしかスタンスが取れなかったか、ステップが邪魔だったか残念ながら写真がありません。

尾西鉄道の1号機関車は、明治30年(1897)米ブルックス社(Brooks Locomotive Works)製なのですが、ブルックスの機関車自体が珍しいかもしれません。なにせアメリカ製機関車といえばBLW(ボールドウィン)やALCO(アメリカンロコモティブ)が席巻していた時代ですから。

■この会社の車体は曲線的なデザインなど他の米国製とは一味違うのですが。弁装置は複雑なわけでもないシリンダー周りで、蒸機室の横に「BROOKS」とネームが浮彫りになっていたり、蓋を留めているボルトが凝った複雑な形をしていて「模型にしにくいだろうなー」と当時感じたことを思い出した。

■それにしても明治時代にご近所さんの弥富や津島近辺をこういう変わった機関車がうろうろしていただものね。楽しいじゃない。


【この写真と下の12号機は2003年6月家元氏撮影】

明治村の乗り物のハイライトといえば、明治時代の本物の古典蒸機機関車や御覧の京都市電なわけですが、補修や人材育成など費用がかかるために明治村を運営する名古屋鉄道も苦戦しているようで、運休に追い込まれていた時期がありました。

■英国シャープスチュアート製の12号機が1年半前に復帰してくれていますが、この機関車は明治7年(1874年)製、新橋ー横浜間に日本初の鉄道が開通した1872年、大宮の1号機関車と2年しか違わないわけで車齢140年!!それが動いていること自体奇跡的なのかもしれません。

■特にボイラーは有名な大阪のサッパボイラーで補修されたようですが、膨張・収縮を繰り返す煙管などをちゃんと機能させること自体が職人技なのでしょうねー。下はテレビのニュース番組の記録からですが、ボイラー全体が熱で膨張すると車輪と当たるという悩ましさは想像以上でしょうね。

■10年前に娘たちと明治村で乗った列車は12号機では無く、1917年米国ボールドウィン(以下BLW)社製の9号機でした。

■BLW製らしいサイドタンクなど同時期のナローの機関車とも共通する味がたまらない機関車で、日本鋼管鶴見で働いていた機関車ですが、間延びしていない動輪の間隔とか形態的にバランスの良い機関車です。

■円形のボールドウィンの製造名盤の番号は#37944。シリンダーブロックの蒸気室につけられた銘板は輸入代理店フレーザー商会のものです。この辺も見どころですね。フレーザー商会の営業力なのかボールドウィンの機関車は一大勢力。以前書いたようにあちこちの私鉄を国有化した後に日本の鉄道がドイツ流メソッドに傾斜していく前の話です。

■12号機だけではなく、こちらも元気な姿が見たいところです(okuさん)。まったく同感。

■10年前は外で弁当広げて、3人とも春の日射しで日焼けするくらいの良い天気でしたが、本日は雨。しかもこれから大雨に注意などという荒天です。