修羅の日記(公開試運転中)

ダイアリーから移転しました

木曽のBLW(ボールドウィン)〜1/20鋳物製のBLW

■また木曽ハナシが続きます。今度はタマネギの話で!

■「与太者トリオ」の映画にはタマネギ型煙突の木曽のボールドウィンがでてきます。タマネギ型煙突(Onion Stuck)はボールドウィン社オリジナルの形でバルーン(風船)型煙突(baloon stuck)、あるいはキャベツ型煙突(cabbage stuck)とも呼ばれます。この後、燃料が薪になって、火の粉飛散がさらに心配されたために、タマネギが上に伸びてジャガイモのような形になって集塵箱がついたり、次には夜店の綿菓子製造機みたいなおかしな形になったり、いろいろな実験的な試みがなされ、最後にはご存知のように、どでかいダイヤモンド型煙突に落ち着きます。

■このボイラーの直径よりも幅がでかく見える煙突がこの機関車を愛らしく見せて有名にすることになります。

■「むらむら・じおらま」のころですから1999年1月のことだと記憶するのですが、当時、昔の内部・八王子線のことやアメリカ型鉄道模型のことなどでS先生のお宅を、同じくナローファンのKさんとしばしば訪れていました。
 その時にS先生宅で名古屋在住の著名なロギング・モデラーF氏と2回ぐらい御一緒したことがあって、出来上がったばかりの「むらむら・じおらま」を一緒に見ていただいたり、とても楽しい語らいになりました。S先生もFさんも、最近、相次いで逝去され、もっといろいろなお話を伺っておくべきだったとの後悔と、とても淋しい思いをしております。

■画像は有難くも、別に伺った際にS先生に頂いた鋳物製のノベルティ「木曽のBALDWIN」であります。先生にこれを贈られたのが何を隠そう前述のロギングのFさんです。単なるノベルティ(置物)なのですが、実物(赤沢休養林の1号機)の画像と並べてみても非常に良いプロポーションをしています。バルブギアやジェネレーター(発電機)からキャブに伸びる電気配管のパイピングに至るまでちゃんと浮き出しで表現。なのに煙突は何故か「タマネギ」(少し痩せて「算盤の玉」のようになっているのはご愛嬌ですが)に、コールバンカー(炭庫)も初期型らしい、という代物なのです。線路が付属してそこに"BALDWIN"と書いたラベルが貼ってあるのですが、また「置物」のくせに生意気にも1/20などと「模型」みたいに書いてあるのです。

■キャブ後部のコール・バンカーの形は仕切りがあるのですが、オープン・スタイルのようにもみえ、タマネギの形のデッサンが若干崩れてソロバン玉になっているところなどは、機芸出版社「ナローゲージモデリング」に収録されている山辺隆さんの「ナロー9mm木曽森林のタンクロコ」という記事の模型化設計図に似ている感じもします。初期型、後期型の疑問はありますが「模型」として木曽のボールドウィンの基本的なプロポーションは備えていると思えます。


■2004年5月に王滝村で開かれた催しに木曽モジュールクラブ(KMC)で出展した時のこと。ヒノキの置物を作って売っていたおじさんがKMCのメンバーと楽しく話をしていました。このおじさんは南木曽在住の檜工芸作品で有名な人みたいで、あの時「BLWを買っておけばよかった」と、後で後悔しきりなのですが、実はこの人は、鋳物のBLWを模写してこれを作ったと聞きました。
(←おっちゃん、店をほったらかしてどこかに・・・の図。真ん中にかつての通学列車「やまばと号」の運転手、三浦征弘さんの姿が見えます。ちなみに僕、左の端に映っています。)

 この話を聞いていた村の観光協会K氏が「それ(鋳物BLWのこと)、村で何かの行事の記念品として作ったものですよ。」「村ではあちらこちらの家にあって、珍しいものではありませんよ。」と聞きました。あれーーあれーー。
(これらの画像はまたもやヘルプをお願いしたcjm氏提供。「よくぞ撮っておいてくれました!」)





■実際「鉄道ジャーナル」のDVDには沼の女性駅長さんがこれを持ってきて、線路の上に置いて記念撮影をするというシーンが出てきて、またびっくり!! おいおい。
 ところで鉄道ジャーナル社のDVD「思い出の木曾森林鉄道」は16ミリフィルムで撮影され大変よくできたソフトで、木曽谷の森林鉄道の映像としては、今のところ「決定版DVD」としてお薦めします。鉄ホビ・ダイレクトでも扱いを開始。
「思い出の木曽森林鉄道」鉄ホビ・ダイレクト




■ちゃんとサイドロッドは下の位置にあったり、バルブギアやブレーキ関係もきちんとしているでしょ、この下周りの実感に加えて「タマネギ煙突」、置物の域を超えたこだわりを感じますね。以下は全く勝手な想像なのですが、この鋳物BLWの製作を請け負ったのはノベリティということからしても桑名の鋳物業者ではないか?設計に何らかの形でFさんかモデラーの誰か、あるいは林鉄の機関車愛好家の人が関わっているのではないか?Fさんなら自分の好みで「タマネギ煙突」をやりかねないな、などと考えています。営林署に初期型の図面しかなかったということは考えにくいので、なんでわざわざ初期型なのか?タマネギが好きな人がいて、こうなった(笑)なんてね。

■下の「与太者トリオ」の鉄橋で一発外しているので、2発目も大外れするかもしれませんが。 
 
■ロギング通は玉葱の方がお好き。ジャガイモよりもタマネギの酸味が身体にいいようでネ!(「わかる人にはわかる!」ようで)

   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■最近出てTwitterで話題になり、すぐに買ってしまった写真集「蒸機の時代」。Kuriさんと同じく竹中泰彦さんが撮影された昭和29年(1954年)下黒沢鉄橋の下の川原から撮ったアングルのボールドウィンの写真にときめく。ああ下黒沢!ああ濁川

とれいん増刊 蒸機の時代 No.46 2012年 02月号 [雑誌]

とれいん増刊 蒸機の時代 No.46 2012年 02月号 [雑誌]