修羅の日記(公開試運転中)

ダイアリーから移転しました

南紀一周の旅〜旧紀州鉱山のトロッコ

■パンダ可愛いでしょ。南紀白浜アドベンチャーランドのパンダは何度も出産に成功している。昨年12月に生まれた姉妹も随分大きくなりました。朝一番はエサを食べたりしているのですが、片方は早々とお休みになっておりました。

■富山の娘が初心者マークをつけて運転してくれるというので、紀伊半島一周ドライブに出発。「高野山」「パンダ」と「潮岬」、「旧紀州鉱山トロッコ」がマストでチェックポイント。まるで人気番組「ローカル路線バス乗継の旅第21弾」やん(笑)

■結果。一日目にあわよくば「貴志川線タマ駅長」「有田川鉄道公園」もと欲張っていたが、連休最終日の高野山は外国人の大型バスも参戦して激しい道路渋滞、駐車場はどこも満車。したくはなかったが「檀上伽藍」の横道に路駐!昼メシは昼前に「食材が無い」と吹っ飛び、車は動かん。普段は優しそうな食堂のおっさんの態度もとげとげしくて悪印象。「二度と来るか!」と啖呵を切る。

■「タマ駅長」と「キハ」の予定はあっという間に吹っ飛び、急遽ルート変更、龍神村経由のドライブルートで紀伊半島の秘境部分に少し足を踏み入れることになってしまった。結果としては、かつて「日本のチベット」と言われたことだけある、やっぱり秘境だよ秘境。白山スーパ林道にも匹敵するくねくね山道だった。おかげで白浜温泉の沈む夕日にも間に合わなかった。

■2日目午後はチェックポイント本州最南端「潮岬」まで南下。ほとんど娘の運転で夕方に新宮に達す。ところが日が落ちるとお宿である紀和町「瀞流荘」付近は街路灯一つなく真っ暗。夜の山道は怖い、暗闇に動物の目が光り、現実に「アドベンチャーランド」になってしまった。助手席の女房が「アンタ誰?」って動くものにこわごわ独り言。「きゃーー!!」


■ということでトロッコ乗車と湯の口温泉は朝一番ということになった。

■予め書いておくが、実は15年前に一度来ている。その直後にHPの記事にしたものをこのブログにも転記しているが、東京から来たU氏を桑名で拾い訪問した。「紀和町温泉トロッコhttp://d.hatena.ne.jp/syura_muramasa/20111113#p1

■写真はU氏から送ってもらった15年前の写真で、場所は板屋の選鉱所跡。後に鉱山資料館が見える。自分が見ている本はJTBキャンブックス「鉄道廃線跡を歩くⅦ」だと思う。当時は紀和町のトロッコの存在も雑誌記事を探すか、クチコミに近いもので、紀州鉱山の全貌はこの本で知った。

■U氏も下記の軽便鉄模アンテナのバテロコ記事をうまくまとめているのでと合わせて読んでいただくと面白いかもしれない。

■軽便鉄模アンテナの記事
●バッテリーロコ   http://d.hatena.ne.jp/keuka/20091212/1260634160
●バッテリーロコ(2) http://d.hatena.ne.jp/keuka/20091217/1261065671

■この紀州鉱山を開発した石原産業は「B6の記事」で書いたように亡きオヤジが海南島開発要員として入社・徴兵を挟んで在籍した会社だが、国策に沿って近代的な鉱山経営をこの地でも展開したことがわかる。

■熊野市(紀和町が合併した)鉱山資料館の展示物を見ると規模の大きな選鉱所、複線でできた幹線、熊野灘の港までの索道など、今では想像できないほど大規模な設備が使われている。



■実は採掘が終了しているがトンネルなどからの流出物などの処理等のために石原産業は現地事務所を置いており、不動産の管理も行っている。トンネルや線路はもちろん、湯の口温泉のトロッコも石原のものを観光公社が借りていると聞いた。

■さて、久々に乗るトロッコはガタガタ、ギギギギと前にも増して「スパルタン」な味だった。団体さんも加わり5両編成はほぼ満席に。

■湯の口温泉の出口は複線分岐という都会の電車並みの配線。そうそう湯の口温泉は45度の源泉かけ流しで野趣があふれる風情があったが、なんと「健康ランド」並みのきれいな施設に建て替えられていた。また2011年豪雨で一部施設が破損したとのことだが、目に付くところではトロッコの鉱山時代からのホームの屋根が葺き替えられ、新たな施設が建築中だった。




■トロッコ牽引のバテロコの姿態


■特に運転席回りはコンパクトにまとめられていて、バック運転用のライトは伸縮式で支持。座席も折り畳み式。コントローラーは電車と同じ形態だが、ブレーキは丸いハンドルを手動で回す。青いヘルメット。奥に挟んである雨傘がご愛嬌、自転車用の空気ポンプは何に使うのだろうネ?

■今回も運転手にお願いして、フードを開けてバッテリーを見せてもらった。当然のことながら15年前と変わらない。UさんのブログのJ氏のコメント「バッテリー兵馬俑」ってうまい言い方と感心したが、最初に見た印象はただただ数の多さに圧倒された。ただ、このバッテリーが直列ときいて一体何ボルトでモーターを駆動しているのかと疑問がわいた。

■ちなみに現役時代にこの路線の主役は鉱山資料館に展示されているパンタグラフ集電の6トン電気機関車で、頭が触れそうな低い位置に、ローカル私鉄で多く使われている600Vの架線が複線の本線に張られていたのである。

■それをツィートしたところ、ちょうどkuma氏が一週間後に紀伊半島一周を予定していることを聞きつけ、電圧は何ボルトなのか訊いてくれるように依頼した。

●kumaさんのブログ:トロリーポール
紀州鉱山の残り香/湯ノ口温泉」
http://trta01.blog.fc2.com/blog-entry-18.html

ツイッターで現地から教えてくれたところによれば「1個2ボルトなので約100Vで電動している」ということ、「バテロコの大小は索引力にあまり関係がない」との運転手のコメントだった。ただ右側面に貼られているユアサ・バッテリーの銘板の記載が御覧のごとくVOLTAGE(電圧)48Vと読める他、意味不明なので疑問が残った。

フォークリフト用なのであちらこちらをネット検索するとある程度容易に解かった。

■ブツはフォークリフト用のGSユアサのVシリーズとして改良を重ねながら今も売られている蓄電池らしい。2段目はCAPACITY(容量)5時間率で「344A.H」、3段目のVOLTAGE(電圧)48V、kuma氏の取材通り確かに1セルが2Vで24セル直列、その右は意味不明。このV型蓄電池を2個搭載し直列配線して96Vでモーターを回すらしい。

■ちなみにバッテリーがどれくらい持つかも合わせてのその力は「5時間率」という形であらわす。このバッテリーは344Ahなので5時間で68.8アンペアの電流を流せる出力があるということになる。「オームの法則」を使えばP=V×A。電圧48V×電流68.8Aで3302W、つまり出力3.3kwが2個直列で6.6kwなので馬力は計算上8.974馬力になる。

■意外に低い感じがするのですが、この辺りは電気や自動車に詳しい人なら初歩の初歩の常識かなー?

■鉱山資料館の展示物も工夫されていて、15年前にも書いたが「ここにいけばイッパシのマイニング通になれるぞ」というほど、いろいろな鉱山の資機材が展示されている。

紀伊半島南部は白浜に空港があるものの、長らく高速道路網とも無縁で15年前も桑名から4時間半もかかり、あちらこちら回るのに時間を要したが、熊野古道世界遺産指定というエポックもあり、急速に高速道路が延伸している。

■今回は使えなかったが、大阪方面、阪和自動車道から南方向へは、白浜を越えすさみICまでが先月開通。名古屋からは勢和多気JCTから分岐する紀勢道が一部ルートが接続されていないとはいえ、尾鷲市まで。尾鷲―熊野間は国道42号は大雨になるとすぐに普通になっていたが、トンネルを主とする熊野尾鷲道路が新たに開通している。結局、帰路は一休みを含めても熊野から2時間半で家に帰った。

■このようにアクセスもしやすくなったのでナローゲージモデルの合宿でぜひ熊野の「瀞流荘」使ってあげてください。熊野古道ブームで客も増え、熊野駅からのバス路線や旅館の迎えも昔よりはかなりマシになったように感じます。




【追記】

■railtruckさんのご教示によりプレートの意味解明。ありがとうございました。

■まさしく「SP.GR,1280」と刻印されています。電解液の比重(Specific Gravity)の略だったのですね。
充電とともに液は定期的に補充しなければいけませんものね。
充電は3日に一度ときいてますし古いバテロコって手間がかかるものですね。
まあ、開けたら「リチウムイオン電池」が出てきたら興ざめかもしれないですものねー。