修羅の日記(公開試運転中)

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「昭和の地方私鉄カメラハイク」

昭和の地方私鉄カメラハイク (イカロス・ムック)

昭和の地方私鉄カメラハイク (イカロス・ムック)

■2月発売で軽便鉄模アンテナをはじめ話題となっている「昭和の地方私鉄ハイク」を買ってきました。表紙がいきなり北勢線阿下喜駅できれいに復元されたモニ226で驚いてしまいました。著者、諸河久さんについては何も説明が要らない有名な鉄道写真家。中のカラーグラフには東員町のコスモス畑を疾走する例の三連接車200系の姿も!

■大家である諸河さんの写真に対抗するつもりは全くありませんが、諸河さんが北勢線を訪れた日(2011年10月29日)より少し前に撮影した似たアングルの2枚を掲げてみました。阿下喜駅のモニの写真は、塗装が仕上がったばかりで車体に三岐カラーの今の北勢線車両の黄色が反射して、このアングルで撮ると面白い感じがしました。ただ自分のはスタンスが足らず広角側に寄りすぎ歪んで見えますね。参考になるな――。
■東員のコスモス畑も前にブログに掲載しましたので見てください。2011-10-21「北勢線とコスモス」

北勢線の写真など現在の写真も素晴らしいけれど、この本の主役は諸河さんが小学生のころから撮り溜めされていた60、70年代の地方私鉄の写真。文章がまたいいんだよなー。
軽便鉄道の世界-軽便鉄道の訪問は鉄道趣味の枠を超え、人としての成長の証ともいえる。私にとっての大切な思い出が詰まっている」(本書記事より)
うーん泣ける。長年、軽便鉄道を真正面からとらえて撮影してきた諸河さんだから書けるコメントですね。

■諸河さんが最初に訪ねた軽便鉄道は、1964年日本硫黄観光鉄道だそうです。1964年と言えば東京オリンピックの年。当地、三重交通近鉄)三重線にも足繁くお越しになっており、45年間に変貌した近鉄内部・八王子線廃線区間である室山駅周辺の酒蔵のあたりや八王子駅周辺の写真が「失われた時を求めて」という記事とともに掲載されています。
「旧き佳き時代の列車が瞼の中を走り去る」(本書記事より)
八王子線の室山駅付近で諸河さんが旧景のランドマークとして捜されたのが清酒「白梅」笹野酒造部の酒蔵。これは現存します。

■室山駅は天白川に沿って敷かれた線路と道路の間の狭い空間にうまく木造のプラットホームと待合所を納め、切符は道路を挟んだ前の雑貨店が売っていたという駅。春が訪れると川沿いの桜の花とマッチして、とてものどかな雰囲気を醸し出していました。昔の「鉄道ファン」の諸河さんが近鉄時代に撮られた、桜と水面が映り込んでモニが室山駅に停車している写真は今でも溜息が出るほど美しいものでした。

■またS先生が昭和44年ごろに制作された映画「夕日のうた」でも日永駅に始まり西日野駅から道路を渡り室山駅に至り八王子駅で折り返すモニの姿が出色。左の写真は画質は悪くて恐縮ですが室山付近の別の映像からのハードコピーです。

■昭和49年の水害で廃線となり、川も河川改修で桜の木も無くなり、河床は掘り下げられてすっかり様子が変わってしまい、今は見ることができない画。清酒「白梅」の笹野酒造部、笹野長七氏は三重軌道創設の際の出資者の一人であり、「北勢軽便王国物語」では三重軌道のトラム式コッペル用に酒樽が給水タンクに使われていることにも触れました。

■現在「白梅」は別荘邸が懐石料理のお店になっており、地元なので、会合にここを使い懐石料理をいただいたこともありますが、料理の旨さ、華やかさもさることながら別荘の洋室の造作がとても凝ったものなのが印象に残っています。酒蔵も2012年秋にブライダル・ホールに変身する予定で、酒蔵の建物の風景はこのまま残ることになったのが嬉しいですね。

■下は新聞に挟まっていた白梅の広告。結婚式の予約受付中です!独身のナローゲージャー諸君、内部・八王子線の軽便電車に乗って三重線の廃線を辿って、花嫁をゲットしよう!(って順序がおかしいかな?)

■「ザ・白梅クラシックガーデン」酒蔵や別荘も紹介されています。
http://www.the-shiraume.com/

■「昭和の地方私鉄カメラハイク」を買いに書店に行ったはずが、これも「軽便鉄模アンテナ」で紹介されていた鉄ピク・アーカイブス「私鉄車両めぐり-山陽・山陰」まで買ってしまった。「諸河節」をゆっくり読みながら楽しむつもりなのですが、高井さんの「小型蒸気機関車全記録・西日本編」も今日届く予定で、一気に満腹状態。消化不良になりそうです。

■夜中にやっているNHK「ローカル鉄道の旅」って知ってますか?録画してすっかりはまってしまいました。BGMがわりにずっと流してます。