修羅の日記(公開試運転中)

ダイアリーから移転しました

池上線にまつわる話、ふたたび〜戸越銀座駅


(デハ3450形画像:cjm氏提供、ありがとう!)

■前に久が原商店街の「モデルエース」のことを懐かしんで書きました。
 2012-04-23 久が原の模型店モデルエース

■もう3年も前の記事なのですが、いまだにコメントの書き込みがあり、
「ウォーゲームやRPGなどパソコンに載る前のボードゲーム」「フィギュアが揃う店」
「オーロラなどのモンスター、SFもの」など時代によって違うけれど、
珍しい品が揃う「わざわざ足を運ぶ価値のある模型屋さん」として皆さんが強い愛着を持っていたことがよくわかります。

■久が原には母の妹、地元出身の叔母がいましたので、親も叔母の家の近くなら安心だろうと近所に住むことになりました。
通学の時間や費用を考えると学校に近い中央線や西武線沿線に引っ越そうと何度も考えましたが、居心地がよく大学4年もの間、ずっと引っ越さずに過ごしました。

久が原駅からアパートまでの間に書店、コインランドリー。風呂屋、サミットストア、洋食屋に蕎麦屋、果ては郵便局、文房具屋・・それに何と言っても「モデルエース!」と便利なことこの上ない。
それに時折、叔母の家でごちそうになると天ぷらやとんかつなど美味しい手料理。

■この便利なアパートを不動産屋で探すのに付き合ってくれたのも世話好きの叔母。
蓮沼でしていた家庭教師を紹介してくれたのも叔母。
ひどい熱を出して一人唸っていた時もタイミングよくのぞいてくれて助けてくれたのも叔母。
我々夫婦の仲人まで叔母夫婦に引き受けてもらい。何から何までお世話になりました。

■全くプライベートな話になり恐縮ですが、その叔母が先月末に脳出血を患い、先週に逝ってしまい葬儀に参列しました。
■叔母は池上線のことを「失礼しちゃうわ、東横線田園都市線の電車どころか、最近では目蒲線より古いのよ、池上線は」とよくぼやいていました。

■鉄道趣味から遠ざかっていた僕も「三岐鉄道」と同クラスの古い電車がゴロゴロ走っているのと、駅の数が多すぎてやたら時間がかかるので、朝は早くでなくちゃいけない。五反田の高架ホームは風の吹きさらしで寒いし、池上線はまるで大東京にあってローカル線並みの不便な電車とクソミソに貶していましたね。

■でも叔母も僕も池上線が大好きでした。今も当時の久が原や池上線のことは忘れたくない、懐かしくてたまらない。池上線には叔母の想い出が一杯詰まっています。

■前にも挙げた西島三重子の歌う「池上線」。
 2012-04-27 十和田観光電鉄と池上線
(ここにでてくる十和田観光電鉄のステンの電車、行先はさてどこに? 正解は一畑電鉄かー!)

■歌謡曲は嫌いだったけれど、この歌は大好きだねーー

https://youtu.be/9GmXJdPz2QM

■この歌の出だしは、「♪ 古い電車のドアのそば、♪二人は黙って立っていた・・♪」(作詩:佐籐順英 作曲:西島三重子)とか、二番の「商店街・・角のフルーツショップ・・」とか、いかにも池上線や久が原にありそうなシチュエーションで胸がきゅんとなりますが、「古い電車」ですぜ!「古い」!「旧い」ではなく「古い」ということはボロいという意味が含まれますよね(笑)。

■「車両更新を進めていた東急もここが気に入らなかったみたいで、ヒットしたにも関わらず、当時は何ら関わりを持とうとしなかったみたい。」という話が伝わってきます。それと池上線のどの駅もよく似た雰囲気を持っているので、どこの駅をモデルにしているのかが謎でしたが、最近になって作詞者:佐籐順英氏の明かしたところによれば、歌詞は体験に基づくもので「池上駅」が正解だそうです。久が原じゃないのは自分としては残念。
団塊スマートライフ『名曲「池上線」の舞台 〜 池上駅』

■僕はあまり東急のことを知っているわけではありませんが、cjm氏から「修羅さんが久が原にいた時代はこの車両じゃない。」と画像をTwitterに提供してくれました。いかにも「彼女とうつむきながらドアのそばに立つと隙間風が吹いてきそう!」(笑)見栄はってるのじゃなく感動の実話、実話!!

■叔母に最後の別れを告げた後、タクシーを固辞して相方と斎場から池上線の戸越銀座駅まで歩きました。「日本で一番長い商店街」らしいけれど、駅の雰囲気は自分のいたころの昔と変わっていません。当たり前だけれど車両は全く変わって立派なものになっていますねー地元の三岐だって20M級の西武OBが走っている時代ですからネ。

■もうひとつ変わらないものを車窓から見つけました!

■「男はつらいよ」シリーズ第11作「寅次郎忘れな草」は最も人気のあるマドンナであるリリー松岡(浅丘ルリ子)が初めて登場する作品ですが、五反田の場末のキャバレーで歌っている、しかも金を無心する母親が池上線高架が見える新開地で暮らしているという設定で、リリーを口汚く罵りながら別れるシーン、リリーの悲しそうな表情がざくっと心をえぐります。このシーンは池上線をくぐり国電のガードと目黒川の間の狭い道が舞台になっています。

■毎日のように車窓から眺めていた五反田駅の東側に広がるこの景色。周りは再開発で綺麗に変わっても、ここの空間構成やガードや川が醸し出す「場末感」は今も変わらない感じがして正直嬉しい。

■陽気が良くなって体調も良い時に、ぜひ久が原や池上から蒲田あたりも訪ねて昔の想い出に浸ってみたいと思う。