修羅の日記(公開試運転中)

ダイアリーから移転しました

「紀和町温泉トロッコ」

■今年9月上旬の台風12号によって熊野市や紀宝町など三重県南部が大きな被害を受けました。瀞流荘のブログで増水する北山川の様子を見て、トロッコのことを思い出し、懐かしさのあまりに「紀和町温泉トロッコ」の記事を引っ張り出したものですが、今から10年以上前にUさんと二人で一泊ででかけた後にHPにまとめたものです。瀞流荘では名物の「キジ鍋」に舌鼓を打ちながら酒が進みすぎ、秋の夜長を部屋でUさんと運転会で楽しむ予定が、早く寝てしまって、それだけは心残りに。
■瀞流荘も「営業再開した」とブログで拝見して嬉しくなりました。「また行けたらいいな。」という思いを込めて、以下、復刻版をお届けします。


瀞流荘HP:http://www.ztv.ne.jp/irukaspa/
瀞流荘ブログ:http://blog.livedoor.jp/seiryuusou3/
湯の口温泉HP:http://www.ztv.ne.jp/irukaspa/yunokuchi.html

■同じ県内に住んでいながら、なかなか訪ねることのできなかった紀和町の鉱山鉄道跡。先日(2000年10月)やっと行ってきました。
紀和町の銅山の起源は奈良時代だそうですが、近代的な鉱山としての歴史は割りと新しく昭和に入って石原産業㈱が開発したものだそうです。
■鉱山鉄道は石原産業によって1938年に開通。採掘された銅鉱はトンネルを通って今の鉱山資料館のある板屋地区にあつめられ、ここで純度95%まで選鉱された後に索道で海岸線まで運ばれ船積みして各地へ出荷されました。鉱山は1978年に閉山しましたが、トンネルなどは現在も残っており、観光用の遊戯施設としてトロッコ列車が復活しました。風光明媚な瀞峡をはじめ那智勝浦や熊野本宮にも近く、ぜひ一度行かれることをお勧めします。



紀和町鉱山資料館】

■(左)鉱山資料館屋外に展示してある日立製6トン電機。これは採掘場の中で使われたものではなく、採掘場から板屋まで複線の本線を輸送するためのもの。











■(左)坑道で実際に使われたニチユ製2トンバテロコ。竪坑のエレベーターに乗るように非常にコンパクトに作られている。人が乗る顎のようになっているところ(右)はピンを外すと上へ持ちあがるようになっているのにお気づきになるだろうか?







■(左)鉱車。連結器は簡単なチェーン・リンク。シャーシの棒材がそのままバッファとなっている形状は後で紹介する人車も同じ。うしろはギアのついた6トン電機の動輪だろうか。
■(右)索道用ダンプ・スキップ。これに足をかけて乗っているコロラドの鉱山の写真をみたことがあり、やってみたかったが怒られそうなので止めた。資料館の中に積み出し用のピアと船の写真があったが、後年にはトラック輸送となり、索道は使命を終えた。資料館横には一基だけ錆びついたマストが残っている。





■連絡用の軌道用自転車。これはまたグッドなデザインの展示品。後輪と前輪の直径が替えてあったりして、思わず乗って記念写真をとってしまった。ターンテーブルの先の線路はなんと鉱山資料館の建物の中に牽きこまれている。






■(左)マイニング用削岩機各種。
(右)削岩機はこのように使われた。人形の右の箱はな、な、なんとダイナマイト。鉱床にダイナマイトをぶち込み、ドッカンとやり、下の坑道に落ちてきたものを拾うという一見,荒っぽそうにみえる方法もやっていたらしい。






■比較的後期に使われたローダーである。動力は圧搾空気だと思うが、鉱石を鉱車に載せるのに使われる。
■グランピー鉱車。上の鉱車はバケットが固定されており、車輪をロックしてロータリー・ダンパーでひっくり返してピットに落としていたようだが、こっちは扉が開くとともにバケット部分が転倒するやや複雑な仕組みになっている。





■見よ!板屋に残る巨大な遺跡。じゃなかったミル(選鉱所)のあと。右の写真を参考に構造を類推するとミルの左にあるトンネルからでた鉱石を一旦降ろし、インクラインで上まで引き上げて、スタンプミルで砕きながら、水につけて流し比重の違いで徐々に純度を上げて行く仕組み。実にカッコイイ鉱山だったようで現役時代に見てみたかった。





【湯の口温泉とトロッコ





■(左)桑名から車で約4時間かけて本日のお宿「瀞流荘」に到着。夕食前に一風呂浴びようと、タオルを肩にひっかけて宿の上にある小口谷駅へ。しばらくして鉱山OBのおじさんが運転するバテロコ列車が到着。発車までしばらく待機。 

■(右)湯の口温泉駅。10分間ほとんどすべてがトンネルの旅である。鉱山資料館のあった板屋から瀞流荘のある小口谷、温泉のある湯の口を経てもっと奥地まで11のトンネルを経て複数の採鉱場まで伸びていた。現在もトンネルは残っているがレールなどの設備は朽ち果てているらしい。また人車は全高で150センチぐらいしかなく、身をかがめて乗らなくてはならないし、もちろんバネなどなく、がたがたと何ともスパルタンな乗り心地。でもナロー好き人間は逆に感動するのである。
■湯の口温泉であるが、湯の方は硫黄泉で湯温45.5度ででてくるため、どっかの温泉みたいに暖めたり冷やしたりする必要無し。薬効成分にもすぐれリウマチ、婦人病、消化器系疾患などに効くそうです。Uさんと露天風呂へ入って「おお極楽、極楽。」と大満足。



■列車が到着してすぐにおじさんが入換を始めた。まずバテロコと列車をバックさせトンネル内へ押しこむ。次にバテロコを人車から切り離し、側線にもってくる。「で、どうすんのかなーー」と話していたところ。左の写真はポイントを戻した後に「えいやっ!」とばかり気合一発人力で勾配を利用して人車を駅にもどすというシーンです。
■我々のためにおじさんが開けて見せてくれたバテロコのボンネットの中。フォークリフトのバッテリーが24個詰まっているそうである。三日にいっぺん充電しているそうである。
■温泉につかった後は瀞流荘に戻り、キジ鍋や山海の珍味に舌鼓をうつ、もう一度宿の温泉に入り、ビールを飲んでテーブルの上にユニトラックの線路を敷き即席のナローゲージモデルの運転会!


■一緒に行っていただいたUさんのレポート。こちらの方が写真はきれいで模型化の参考になります。
軽便鉄模アンテナの記事
バッテリーロコ 
http://d.hatena.ne.jp/keuka/20091212/1260634160
バッテリーロコ(2)
http://d.hatena.ne.jp/keuka/20091217/1261065671
■熊野市紀和町鉱山資料館 
開館時間:午前9時〜午後5時休館日:毎週月曜日(但し、月曜日が祝日の場合は翌日休み)12月30日〜1月1日
入館料:大人500円   小・中学生200円 
TEL:0597-97-1000
■案内地図:三重県熊野市紀和町板屋110-1
http://g.co/maps/hjqa9
■文中に「桑名から4時間」と書きましたが、ルート検索で3時間51分となりました。紀勢自動車道が延伸したにもかかわらず、やはり同じ県内と思えないくらい遠い場所には変わりない。第二名神草津田上まで開通したので、もし渋滞がなければ、これくらいの時間で、西は山口県の岩国ぐらいまで行けてしまうもの。でもこんな面白いところは、めったにあるものではありません!