修羅の日記(公開試運転中)

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蒸機の時代へ〜JR名松線伊勢興津駅

今週のお題「行ってみたい時代」
三重県奈良県の県境に「曽爾(そに)高原」というところがある。嫁に「連れてけ」とせがまれススキ見物にでかけた。

名阪国道を使い名張(なばり)からアクセスしたが、またシャトルの「とんでもナビ」がやらかしてくれた。景勝地赤目四十八滝から裏の林業用の作業道路みたなところに入り、うっそうとしたスギ林の中は、道にヘビがのたくったりキジが羽を広げたり・・とんでもはっぷんな道案内。そんなこんなで着いてみると・・おお、パノラマ!

■最近、人気があるのか大型観光バスが乗り付け、平日というのに第一駐車場は満車に近い。いや上の写真を撮影するところまで登るのが精一杯。後の予定を考えて「上まで登る」という嫁を残し自分は先にリタイア。お風呂に入りにいく。
■「お亀の湯」。無色透明なお湯だが体にとろっとまとわりつくようなやや重い感触は心地よい。有名どころと比較するならば下呂温泉(岐阜県)よりも榊原温泉(三重県)に近い泉質のような気がする。露天風呂から見える山並みも気分を爽快にしてくれる。
「お亀の湯」案内 http://www.soni-kogen.com/okame.html

■ここ曾爾高原は奈良県だが、地図を広げて名松線の終端駅である伊勢奥津駅に割に近いことに気が付いた。風呂上りに名松線に沿って久居IC経由で帰るべく、県境を越える。

名松線といえばこれだ!機芸社「シーナリィガイド」(昭和49年初版発行)。

■自分がTMSを読んでいた時代の河田耕一さんの「名松線の駅を探る」という記事も名調子で何度も読み返した。そもそも坂本衛さんや河田さんの記事は「鉄道模型レイアウト」を作るための意図で取材されており、車輌はその模型世界を構築するための一構成物に過ぎない。

■河田さんの記事にならって、もし名松線を題材に架空でレイアウトを発想するならば、輸送量が少ない支線だから、機関車はC11かC12、C56あたりが親元の機関区からきている。貨車は材木の運搬にトラや暮らしに必要な物資輸送でワムあたりが数両、それに時々はオハ35あたりの客車がつながる。旅客には両運転台のキハ16など10系か20系気動車あたり、実際、名松線ではC11を頭にした列車に気動車がくっついて回送される。車輌はこういう感じのラインナップで十分である。

■「シーナリーガイド」時々アマゾンやヤフオクで中古で出品されていたり、ポポンの本棚にもこの間中古品が並んでいたので比較的手に入りやすい本かもしれない。昭和30〜40年台前半あたりの鉄道風景を模型のために拾って見るのにはとても役立つ本である。というより私にとっては「この趣味に導いてくれた鐵道模型趣味誌の記事のひとつ」


■駅の表情は残念ながら建て替えられて違っていたり、線路配置もたった一本になってしまっているが、給水タンクが今も残っている。

■その横にはポンプ小屋の一部も。

■往時を偲ぶために、この場所に地元で昔の写真が展示されている。桜の木の下で河田さんの記事とこの写真を見て「伊勢興津駅」の1960年代の姿を辿ってみる。「そのころに来てみたかったなあー」

■ご存じのように、現在名松線のこの区間は復旧工事中で休止、代行バスが運行している。2011年の豪雨災害で廃線寸前まで陥ったがJR東海もよく踏みとどまったと思う。県の果たした役割も相当大きいだろうと思う。復旧まで時間がかかっているのは治山工事を先行して行っているためで、かなり進んできていると聞いている。

■もし復旧したらC11の汽笛を想像しながら、この場所で絶対カメラを構えて撮影したいと願っている。来るのがミニ気動車でも構わん!