修羅の日記(公開試運転中)

ダイアリーから移転しました

「むらむら・じおらま」第3巻「草を生やす」

■「草を生やす」
■草も木も生きています。当たり前の話ですが、もう一度思い起こしてみましょう。草や木は根から水分を吸い、太陽の光で葉で光合成をし成長し、種を落とし枯れます。実はレイアウトの季節感はこの循環のサイクルを意識することで表現します。とはいっても小スケールの模型の世界で個体をいちいち作るわけにはいきません。「こういう斜面ではどう生えるのか」とか「水に近いところでは・・」とか草の集団としての行動のくせを、自然観察により読み取るわけです。
■このジオラマでは、先日、木曽赤沢を訪れた季節、木々が色づいた10月の終わりくらいを表現することにしました。
■市販のパウダーの色は限られておりますし、混ぜることやエアブラシで塗装をすることにより、変化をつけながら季節感を表現します。
■左の写真では、まず最初に茶系のパウダーを撒き、その上に同様の処理を施し、さらに上から茶系のパウダーを混ぜ、バフやカーキを吹き退色させ、「夏の間にもう十分養分を吸った」という感じにしてみました。










■ポリファイバーを使って、パウダーを地面から浮かすことで、(左①②③)
草のボリューム感を演出しながらパウダーをつけます。(左④)
■エアブラシを絞り、草の下からバフを吹き、わざと反射させ土が上がった感じを(左⑤)、フラットアースにより枯れた感じを表現します。コツとしては、だらっと塗ってしまわないことです。
■なおフィールドグラスは今回は使っていませんが、水際などで葦などの丈の長い草に使うと効果的だと思います。同じようにバフを軽く吹くと色が落ち着きます。(1998年12月19日記)










【2011年の追記】最初の記述は、今見直すと大げさすぎて少し照れくさい。恥ずかしい感じがします(笑)。ポリファイバーのフワフワ感演出は効果的です。背景のように使う場合にはポリファイバーをボンド薄め液に浸して団子状にし、「とんかつ」を作る要領でパン粉ならぬパウダーを着け張りつけるという方法もあります。
 ところで作例では使わなかったウッドランド・シーニクスのフィールドグラスについて、最近はシルフローとかフィールドグラスよりリアルで使いやすそうな素材が発売されております。フィールドグラスを使う前は、荷造り用の麻ヒモをほぐして使っていました。接着後にハサミでわざと「虎刈り」にして、上で書いているようにバフで色を落ち着かせると急に実感的に見えて「割と使える素材」になります。緑系の塗料を上の方に吹けば、もっと夏向きになります。
【別の作例】左は麻ひもをフィールドグラスの代用として使った例。見せるためにはある程度、まとまった本数が必要。車はSスケール(1/64)。HOスケール(1/87・1/80)で使う場合は草の丈を刈りこんだり生え際をパウダーでごまかすむ必要がありそう、Nスケール(1/160・1/150)ではこの素材は使えないなあ。せっせ、せっせと無心になって、1束づつ、草を植える作業は「写経」でもやる気分。栗倉の家元が良く使う「そこらで採取したネコじゃらし一本植え」の技は、これよりも、もっと数が必要で俗世間の物欲を忘れ無心になれると思います。いっそ「南無阿弥陀仏」とお経でも唱えながらやりますかね。